研究概要 |
本研究は, 複数の大域的最適解, 有望な準最適解, およびロバスト解を同時に探索する汎用の最適化アルゴリズムを開発すること, および, 開発するアルゴリズムの独創的な応用として, 日本語点字翻訳用知識ベースの最適化を試みることを目的とする. 本年度は, 以下のアプローチに基づくロバスト解探索アルゴリズムの試作検討を行った. 1)社会性昆虫の挙動を模倣した群知能アルゴリズムに基づく複数ロバスト解探索アルゴリズム : 実数の設計変数をとる問題において探索性能が高いとされるParticle Swam Optimization(PSO)を用いたロバスト解探索アルゴリズムを開発し, その有効性を検討した. 2)また, PSOに基づくロバスト解探索アルゴリズムに, 準ニュートン法を組み入れたMemetic Robust PSOアルゴリズムを試作し, 探索性能が向上することを確認した. 3)PSOの離散問題における有効性を検証した. 4)群知能アルゴリズムの一つであるAnt Colony Optimizationを用いたクラスタリングアルゴリズムを試作した. 5)汎用の分散並列計算言語を開発し, アルゴリズム開発実験の効率化を試みた. 6)日本語点字翻訳Webサービスの開発を行い, 携帯電話からの利用を可能とした. 1)〜3)の結果から, PSOに基づく探索アルゴリズムは, 複数のロバスト効率的に発見できる能力を有するが, その有効性は設計変数が連続値の問題に限られることがわかった. また6)により, 本研究で開発する点字翻訳用知識ベースを, 一般のユーザに利用できる形で提供するための基盤を構築することができた. 次年度は, 日本語点字翻訳のための知識ベースの構築を最適化問題として定式化し, 今年度検討を行ったアルゴリズムの適用を試みる. 上記の成果を論文および学会発表で公開した. 6)に関する学会発表が, 情報処理学会九州支部奨励賞に選出された.
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