研究概要 |
本研究の目的は、反応拡散系で生じる動的パターンを信号伝播媒体とする、信号伝播とパターン変化が相互に影響しあう系における、信号伝播様式の同定、及びそれらの様式から解釈され得る機能の実験的検証である。具体的には,信号伝播媒体/経路(信号が存在しうる場)生成系として、スポット状のパターンが進行・分裂することで知られるGray-Scottモデル、及びそれに類するダイナミクスを対象系とする。また経路生成系と相互作用する信号生成・伝播ダイナミクスとしては、活性・抑制因子系で見られる興奮系を想定し、興奮波(反応拡散波)の生成・伝播・消滅を信号の生成・伝播・消滅とみなす。 21年度は前年度に引き続き,信号伝播媒体となる時空間パターン生成ダイナミクスの離散化,およびパターン生成・反応拡散波伝播の両ダイナミクスの相互作用方式の,より一般的な形での導出をはかった.具体的には,信号伝播ダイナミクスの興奮状態から休止状態へと戻る必要条件の簡略化,経路場への信号伝播履歴の寄与の正負双方の効果の導入,及びこれまで外部からの入力を主としていた信号入力条件の,経路場変化からの再帰的な条件付けなどを行った.また,経路場・信号伝播双方についてのパラメータ毎の相図作成をはかった.平行して,信号伝播様式の基礎的な知見を増やすため,場の形状や信号の入射・伝播方向が非対称である場合の信号伝播様式を調べ,自発的信号発生のひとつの要因となり得る回転波の発生条件や,信号消失・フィルタリングの条件を明らかにした.上記を、既存の計算機資源および20年度購入の計算機システムを用いて行った。
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