研究概要 |
本研究の目的は、反応拡散系で生じる動的パターンを信号伝播媒体とする、信号伝播とパターン変化が相互に影響しあう系における、信号伝播様式の同定、及びそれらの様式から解釈され得る機能の実験的検証である。具体的には,信号伝播媒体/経路(信号が存在しうる場)生成系として、スポット状のパターンが進行・分裂することで知られる反応拡散モデル、及びそれに類するダイナミクスを対象系とする。また経路生成系と相互作用する信号生成・伝播ダイナミクスとしては、活性・抑制因子系で見られる興奮系を想定し、興奮波(反応拡散波)の生成・伝播・消滅を信号の生成・伝播・消滅とみなす。 最終年度である22年度は、これまでに得られた系のダイナミクスに基づく相図をもとに、信号伝播媒体となる時空間パターン生成ダイナミクスの離散化,およびパターン生成・反応拡散波伝播の両ダイナミクスの相互作用方式について、よりダイナミックなパターンの変化を求めて、引き続きモデルの改良を続けた。また信号伝播のパターンからどのような信号処理機能が解釈可能になるかについての検討を継続し、基本的には信号が伝播する方向は、時間発展するパターン領域の進行方向にほぼ準じていることから、信号の伝播とともに伝播媒体が移動し、かつ二つないし三つの信号・媒体が衝突することで、信号の融合および、時間差を因子とした論理積演算が行われうることを検証した。上記を、既存の計算機資源および20年度購入の計算機システムを用いて行った。
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