研究課題
本研究は、動的に状態か変化するニューラルネットワークの理論を構築し、その理論をロボットなどの運動制御へ応用することを目指している。動的なニューラルネットワークとは、系のダイナミクスが安定平衡点や安定リミットサイクルのような単純なアトラクターヘ収束することを必ずしも前提としない、ということであり、また、ロボットの運動としては二足歩行のようなリズム運動を考えている。二足歩行は一見単純なリズム運動で実現できるように思われるが、環境への適応や学習による運動の獲得などを考えるためには単純なリズムだけでは不十分であり、本研究が目指しているような動的な性質、すなわち運動状態を動的に変化させるネットワークが必要となる。今年度はリズムを生む能力があるネットワークにおける、結合トポロジーの効果について調べた。一般に、リズムを生むためには「遠くの素子同士が結合する」ランダム結合が有利であるが、今年度の研究により、抑制性素子め活動度が高いときは「近くの素子同士の結合に少数の遠距離結合がある」スモールワールド結合においてもリズムが生成されうることがわかった。これにより、結合結線を減らして脳の体積の爆発を防ぐという生物の戦略の理解への道が開けたと言える。今後はこのネットワークへの学習の導入や、生成されたリズムの二足歩行モデルの制御などに取り組む予定である。
すべて 2008
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Neural Computation vol.20, no.8
ページ: 1951-1972