研究概要 |
今年度は, 情報格差を縮小するための家電製品操作ヘルプ手法について研究を行った.まず, ユーザとインストラクターのヘルプ対話コーパスの分析を行った.その際に, ユーザ側の発話と, インストラクター側の発話に分けて分析を行った.ユーザの発話について, 知識レベルごとにテキストマイニングツールを用いて単語同士の繋がりを比較したところ, 知識レベルごとに普段良く使うタスクについて質問内容の変化が見られた.よって, そのタスクを普段良く使うかどうかによって, 初心者と上級者の説明能力に差が出るということが分かった.インストラクターの発話については, 硬い表現の動詞に対して, 同義語への変換が行われていた.また, 全ての説明について, タイトル内の語句が用いられていることも分かった.この結果を基に, ユーザの知識レベルに応じた対応方法を検討していくことが可能となる. コーパス分析に加えて, 電子レンジを題材に, オンラインヘルプをXML形式で記述し, マニュアル内の画像とテキストをリンクする簡単なシミュレーションを行った.今回は, マニュアルの言い換えは行わず, マニュアル中の画像と, その説明のテキストをハイパーリンクで接続することを試みた.被験者に実際に利用してもらい, 作業にかかる時間を紙媒体の場合と比較した.その結果,紙媒体よりも早くマニュアルの内容を実行に移すことが出来た.分かりやすさの面でも, アンケート調査から紙媒体より直感的に理解しやすいとの評価が得られた.このシミュレーションに言い換え手法を適用することにより, 初心者により理解しやすい操作ヘルプシステムとなることが期待できる.
|