研究概要 |
画像の類似度を算出する指標として,領域中の三原色それぞれの平均,分散,歪度の9特徴,Sobelフィルタの8方向のエッジ特徴,Texture Neighborhoodによる8特徴の,計25次元の特徴量を用いた類似度の生成を行った.この類似度関数は,25次元の変数をファジィ論理演算子を含む集約演算子を用いて集約し,実数値の類似度を算出する式を生成した.ファジィ論理演算子および集約演算子として,24種類の演算子(パラメータ付の演算子についてパラメータの変化も加味すると41種)の演算子を選定した.用いた演算子は,算術平均,調和平均,幾何平均などの平均演算子,Frank, Hamacher, Yager, Einsteinのt-norm, t-conormなどのファジィ論理演算子で,連続性があり0や1の限界値を取ることの少ない特性を持つものを用いた.これらの演算子を用いた類似度関数で,人間の視覚による画像類似性の感覚になるべく近い式を,遺伝的プログラミングを用いて生成した.遺伝的プログラミングの評価関数は,あらかじめ被験者に示した画像に対して,類似していると感じる画像とそうでない画像を選択させ,類似している画像集合との特徴距離の平均と,そうでない画像の集合との特徴距離の平均との,調和平均とした.遺伝的プログラミングによる式生成の結果,5325項からなる式が生成された.この類似度関数は,L*a*b*色空間におけるL*チャネルの平均,a*チャネルの歪度,Texture Neighborhoodの第8項,Sobelフィルタの第8項のみの特徴を使用していた.この結果から,実際の人間の類似度判定は,25種の特徴全てを使用しておらず,明度に関する特徴を中心に判定していることが明らかになった.この類似度関数を用いた検索の結果,提案手法は,適合率がおおむね20ポイントほど上昇していたが,再現率は10ポイント程度低下することが明らかになった.
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