平成20年度は、ネットワーク上の文化情報に活用することが可能な典拠情報を構築するため、「JAPAN MARC形式の国立国会図書館人名典拠データ : 図書」「Getty財団Union List of Artist Names(ULAN) : 美術)」「ISAAR(CPF) : 文書」などの三つの規格を歴史的経緯を踏まえて、比較しながらネットワーク上の文化資源用の人名典拠データに必要なエレメントセットのデザインを行った。これらのデザイン作業によって図書、美術・工芸、文書の境を越えて使用することの可能であり、かつ「国会図書館典拠情報」「Union List of Artist Names(ULAN)」「ISAAR(CPF) : 文書」とクロスウォークが可能なエレメントセットを設計した。その上でそれらのデータの構造化記述の方法の研究を行い、内容を国内で学会発表した。また、それらの、エレメントに対応する、RDF/XMLおよびTopic Mapなどの各種の記述方法を検討した。 次に、共同研究者とともに、複数のユーザでコラボレーションできるシステムを構築し、実際に複数の人間でのデータ入力を行う実験を行った。実際にそれらのツールなどを用いながら、規定のエレメントセットと記述方式に基づき、日本人の文化人、歴史上の著名な人物ついてのデータを格納した。データの格納対象者は、明治から戦前にかけて、政治、社会、実業界などにおいて大きな影響力を持った人物を中心としたが、これら典拠情報には、各人物に関係する名称や履歴に関する情報だけではなく各人物の関連人物相互の関係性なども記述し、社会関係の中で、各人物に関する情報を捉えられるようにデータを格能した。
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