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2011 年度 実績報告書

XMLによる初期刊本の本文記述の方法論の確立と印刷史研究への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20700225
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

安形 麻理  慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (70433729)

キーワード書誌学 / 印刷史 / トランスクリプション / 初期刊本 / グーテンベルク聖書 / デジタル画像
研究概要

本研究の目的は、第一に、書誌学的な研究に有用であるような、XMLによる初期刊本の本文の記述(トランスクリプション)の方法論を確立することである。そうすることにより、印刷史において重要である初期刊本の研究のさらなる進展が期待できる。第二には、西洋最初の活版印刷本であるグーテンベルク聖書のXMLによる本文の記述を作成し、それを用いてグーテンベルク聖書の印刷工程の解明に向けた研究を進めることである。
この目的を遂行するために、本研究では、1:書誌学的な研究に有益な初期刊本のXMLによる本文記述の方法論の確立、2:グーテンベルク聖書の本文記述、3:用いたグーテンベルク聖書の印刷工程の解明に向けた研究、という三つの具体的な課題を設定している。
本年度は課題2に中心的に取り組み、グーテンベルク聖書の本文を機械可読型データに翻字するトランスクリプションの作業を進めた。グーテンベルク聖書の本文には15世紀のラテン語に特有の略字や記号が多く用いられ、使われている文字の種類は300近くあるため、異字体や短縮語の区別、印刷上の誤りや修正などの手がかりを効果的に記述するためには厳密な入力の規則が必要になる。そこで、詳細な入力の規則を作成し、アルバイトの入力補助者を訓練することによって、効率的に、かつ正確に、本文のトランスクリプションを作成できるような環壌を整えた。そのうえで、高解像度のデジタル画像を用いてトランスクリプションの作成を進めた。
また、平行して課題1にも引き続き取り組んだ。初期刊本に関する書誌学上の研究成果や、15世紀に印刷された聖書の原資料の調査、さらに電子的な環境における編集のあり方についての議論を参考にしながら、トランスクリプション・データに付与すべきタグの検討・洗練を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

トランスクリプションの作成を効率的に進めるには高解像度の画像が不可欠であるが、今年度は画像データの移管があり、画像データを使用できない期間が生じてしまったため、トランスクリプションを計画通りに勧めることができなかった。また、ただし、その間に入力規則の精緻化や作業環境の整備を行ったので、来年度からの作業はより効率的に進めることができると期待できる。

今後の研究の推進方策

今後はトランスクリプション・データの作成およびタグ付けの作業を重点的に行うとともに、成果の公開に向けた準備を進める。
2011年度は画像データの利用に支障があったが、2012年度は高解像度の画像データを使用できる見込みであり、研究を遂行する上での問題とはならないと考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Scribes, Printers, and the Accidentals of Their Texts (共著)2011

    • 著者名/発表者名
      Jacob Thaisen(編)
    • 総ページ数
      135-156
    • 出版者
      Peter Lang(査読付き論文集)

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公開日: 2013-06-26  

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