研究概要 |
地域研究, マーケティングなどにおいて野外調査は, 一次情報を収集する方法として広く実施されている. 近年の計算機の小型・高性能化や無線通信網の充実, GPSなどの普及によって, 利用者による屋外での計算機利用や位置情報取得などが容易になってきている. そこで本研究では, 野外調査に関するデータの収集, 分析, 共有を情報技術で支援することによって効率化することを目的とする. 本年度は, 野外で効率的にデータ収集を行うための2種類のクライアントシステムを構築した. 一つは, ペンタブレットPCとGPS, デジタルカメラ, マイク, 傾きセンサ, 距離センサを統合したシステムである. GPSだけを用いたデータ収集では利用者の立ち位置に関する情報しか記録できない. しかし, 提案システムによって利用者は, 危険な場所や建物中のような直接位置を計測できない対象に関する位置情報を取得できる. さらに本研究では, 予備調査によって提案システムの有効性を確認した. 二つ目はデジタルペンを用いた地図への注釈システムである. 長時間の現地調査において計算機に比べて紙の方が扱いやすく信頼性がある. しかし紙に記述されたデータは, 収集後に電子化されることが多く手間がかかる. そこで, 提案システムは, デジタルペンを用いることによって手書きデータを効率的に電子化し, データの分析や共有への応用を支援する. 今後は, これらクライアントシステムのユーザビリティを比較し評価するとともに, 収集されたデータの分析や共有するためのサーバシステムの実現を目指す.
|