研究課題
日本の大学やTLOの出願特許のうち「早期審査制度」を利用した特許(以降、「早期審査特許」と呼ぶ)に注目し、その活用実態と産学連携との関連性を調べた。早期審査制度とは、一定の要件の下、出願人からの申請を受けて審査を通常に比して早期に行う制度で、主に中小企業・大学・TLOなどが出願人となる場合に申請が可能となる。大学等が早期審査の申請を行う特許は、当該機関にとって何らかの重要性が認識された特許である可能性が高いといえる。従ってこれら早期審査特許を調べることは、大学関連特許の技術移転から実用化までのプロセスを理解する有効な手段となる。そこで、大学等の早期審査特許の活用実態や技術移転状況について、公開特許情報からわかる実態の分析や、大学等へのアンケートによる技術移転状況の分析、製品化まで至った事例分析を行うことで、大学等の早期審査特許の活用実態や技術移転状況について詳細な分析を行った。その結果、本調査対象期間における大学・TLO帰属の早期審査特許の出願件数は756件で、大学関連特許全体(20,426件)の約3.7%であった。これら早期審査特許は、特許登録率・外国出願率・閲覧請求率の全ての指数において、通常の出願よりも高い値を示した。早期審査特許は大学等にとって重要性の高い特許であることが確認できた。また出願形態を見てみると、大学関連特許全体では企業など他機関との共同出願と大学の単独出願の割合は、おおよそ50%ずつであるのに対し、早期審査特許の大学単独出願の割合は約64%と高かった。このことから、早期審査特許には大学側の意欲がうかがえる。
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日本知財学会誌
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