1. 行動実験 カテゴリー学習時の選択的注意データを観察するためにInformation Boardと呼ばれるコンピューターインターフェイスをもちいた行動実験的パラダイムの開発をした。この実験的パラダイムをもちいて、「カテゴリー学習は、状況に応じて変化する知識の最適化である」といった仮説の検証をおこなった。具体的には、同一のカテゴリー構造と同一のフィードバックスタイル(正解・不正解および正しいカテゴリーの提示)を用いて、被験者の置かれた状況・目的のみを独立変数として操作するといった行動実験をおこなった。実験に用いた課題が複雑だったこともあり、獲得されたカテゴリーの知識は異なっていたが、状況・目的とは必ずしも対応・一致しない知識を獲得した被験者の割合が予想より多く、更なる実験・解析を計画した。また、不完全情報の学習への影響を検討する実験もおこない、不完全な情報による学習妨害効果を観察した。 2. モデリング研究 20年度は、meta-heuristic最適化法の一つであるParticle Swarm Optimization(PSO)を認知モデルに組み込み、他のmeta-heuristic最適化法と、モデル化された認知情報処理の記述性や先行研究の認知行動データとの一致性と基に比較した。カテゴリー学習シミュレーションでは、PSOを用いた認知モデルは他のモデルでは困難であった、多様性のある(汎用性の高い)知識を受動的学習法で獲得できることが示唆された。
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