研究概要 |
本研究は、注意・遂行機能とそのメタ認知に生じる加齢の影響について検討することを目的とし、1.注意・遂行機能とそのメタ認知に生じる加齢変化についての横断的検討、2.メタ認知の訓練効果についての検討、から構成されている。 本年度は、1.に焦点化して研究を進めた。特に20歳代、60歳代、70歳代の3年齢群を中心にデータ収集を行った。遂行機能については展望記憶課題(石松他,2006)を用い、神経心理検査と合わせて、遂行機能とそのメタ認知に隼じる加齢変化について検討した。また、特定の時間をストップウォッチで作成させる時間作成課題を用いて時間知覚とそのメタ認知に生じる加齢変化についての実験を行った。時間作成課題では、参加者は閉眼でストップウォッチを用いて30秒を作成した。また参加者は本試行の前後に時間作成課題成績に対する自己評価を百分率で報告した(時間知覚に関するメタ認知の評価指標)。時間知覚にかかわる複数の評価指標(平均作成時間や評価のばらつきなど)について年齢の効果を検討した結果、高齢者の作成時間は若年者に比べて短いとするなどの結果が得られた。ワーキングメモリや情報処理速度にかかわる課題成績や時間作成課題成績に関する主観的評価指標等と合わせて総合的な検討を行った結果、例えば、時間知覚に関するメタ認知の評価指標の一つである時間作成課題遂行後の課題成績に関する自信度は、作成時間のばらつきと関連があることなどを示す結果が得られている。
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