研究概要 |
本研究課題で取り扱う多次元尺度構成法(MDS)のモデルでは.単相2元MDSと呼ばれる「2つの対象間の近接度に基づいて2つの対象間の距離を定め,対象間の関係を表現する手法』が一般的である.単相2元MDSにより求められた布置から明らかとなる関係は,2つの対象間の近接度に基づくものとなる.3つや4つなどそれ以上の対象間の近接度による関係は,2つの対象間の近接度に置き換えることで表現され,直接的には表現されない.例えば,3つの対象間の同時購買を分析する際には,第3番目の対象の影響については考慮せずに2つの対象間の同時購買の関係とみなして分析が行われる.しかし,本来であれば3つの対象間以上の関係も2つの対象間の関係に置き換えることなく,直接的に表現することができれば,対象間のあるべき本来の関係が表現できるのではないかと考える.そこで,第3番目以降の対象の影響も考慮した分析を行うためのモデルについて提案を行い,数理的な妥当性や消費者行動研究などへの実用性について研究した. まず,3番目以降の対象の影響も考慮した分析が必要か不必要なのかを,実データへの適応や統計的検定などを行うことで検討した.さらに,複数の同一の対象が組み合わされた単相多元データ分析する際に,いくつの対象間の関係を考慮すべきであるのかという,考慮すべき対象間の関係数の上限を決定するためのストッピング・ルールについての検討も行った.そして,提案モデルを実データに応用し,その有効性や実用性を示すとともに,消費者行動研究における新た示唆をもたらすことを目指し研究を行った.
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