本研究では、分子間相互作用の相補性に基づく動径分布関数と自己組織化写像による酵素機能予測システムの研究開発を行う。平成22年度は、次のように研究開発を行った。 1.開発した個々の要素技術の高速化と大規模化をはかった。 酵素活性部位の符号化技術に関しては、立体構造が入手できないものを対象に立体構造予測システムを酵素機能予測システムに組み込んだ。これまでの立体構造予測の研究から、予測により構築した立体構造の問題は、酵素機能の予測に重要な精度を持たないことである。そこで、核磁気共鳴法により決定された構造の機能予測にも適用可能な部分動径分布関数により、構築した立体構造の妥当性を評価し活性部位を解析した。自己組織化写像による酵素活性部位分類システムに関しては、活性部位の妥当性を評価する手法を導入した。立体構造の妥当性を評価する手法は活性部位の妥当性を評価する機能を持つ。そこで、立体構造を構築する手法を申請者が開発した酵素活性部位の分類化技法と組み合わせて、活性部位の妥当性を評価する手法を構築した。酵素機能予測システムの開発に関しては、立体構造構築の手法を用いた構造未知のタンパク質への拡張と、活性部位の妥当性を評価する手法を導入した。 2.ベンチマークと評価実験 開発した要素技術を統合し、データ解析用サーバ(平成22年度設備費)上で酵素機能予測のベンチマークと実際のオーファン酵素を用いて評価実験を行った。
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