研究課題
マウスのサーカディアンクロックの系について、その動的な制御関係の構造変化のパターンを追うための方式をActive State Transition Dialog(ASTD)という手法を開発し、数学的に定式化をおこなった。簡単には、ASTDの各ノードはサブネットワークを表しており、これらのノードの接続関係は、これらのサブネットワークの状態の遷移を表す。ASTDでは、各サブネットワークはもとのネットワークのHFPNeの部分構造であり、シミュレーションを行うことができる。また、そのサブネットワークを実行した結果と、もとのネットワークを実行した結果は、その時点でのパラメータを与えると同じ結果になることを保証しているという数学的に性質のよい特長をもつ。この方式により、(1)生体内パスウェイで共通して制御を行うサブネットワーク群を抽出し、(2)あるパスウェイモデルについて、各々のサブネットワークの状態がどの程度、実際の制御で利用しているかを持続度・頻度という2つの指標で抽出することができようになった。また、ネットワーク上の発現状態をこのASTD上でトレースすることでユーザが興味をもつ生物学的な情報と、ネットワークの構造変化との関係を明快に視覚的に表示しまた統計的に解析できる枠組みを提案することに成功した。さらに、このASTDを用いることで、我々が開発した高機能ペトリネットHFPNeで作成されたモデル対して、視覚的に表現可能な構造変化のパターンをモデル検査の対象として組み入れることができるようになった。また、線虫の細胞運命決定のネットワークについて、HFPNeを用いて初めて動的なパスウェイモデルを構築し、Horvitzら分子生物学者によって観測されている生物学的な事実とより適合する細胞運命の決定のルールをモデル検査の手法を用いて推定を行った。これらの成果は、開発を行っているCell Illustrator Online(http://cionline.hgc.jp)でモデル化・視覚化・解析できるようにCSML形式で実装を行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)
BMC Systems Biology 4:39(online journal)
In Silico Biology 10:0002(online journal)
BMC Systems Biology 3:42(Online journal)
http://www.csml.org/