研究課題
ポストゲノム計画の中心課題は、タンパク質の立体構造と機能との相関を明らかにし、タンパク質を主役とする生命現象発現の分子機構を解明することである。その際、克服するべき課題は大きく2つ存在する。膨大にある蛋白質立体構造を検索できる効率的方法と、構造に対する何らかの精密なエネルギー関数の開発である。我々のスコア関数は、系の自由エネルギーを正確に記述できれば、蛋白質の天然構造の予測が可能になるとの立場から、溶媒である水に積分方程式理論を用い統計力学的に系の熱力学量を計算しており、蛋白質を粗視化することなく水の分子描像を密度分布関数という形で残したまま、熱力学量を厳密に得ることができるという利点がある。研究代表者は、タンパク質が存在する環境である水に着目することによって、タンパク質立体構造形成における主要な物理化学的因子を理論的に見出しており、本研究は、その物理化学的因子に基づき、タンパク質の立体構造をそのアミノ酸の一次配列から決定する計算化学的な方法論を確立することを目的としている。様々な理論解析から、エネルギー関数は水和エントロピーと蛋白質折り畳みに伴う脱水和のペナルティーという形式で表現できることを示した。さらに、そのエネルギー関数を用い、従来の構造検索法と統合を計ることで、比較的小さな(200残基以下)の蛋白質に関し、主鎖炭素の位置標準偏差で3A以下の精度で立体構造予測に成功した
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS
巻: 135 ページ: #045103
10.1063/1.3617247
PROTEINS-STRUCTURE FUNCTION AND BIOI NFORMATICS
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