研究課題
本研究の目的は、1遺伝子破壊と1遺伝子発現増強という遺伝子操作を細胞に与え、その時の表現型変化を網羅的に測定したデータに基づき、マイクロアレイなど他の網羅的測定データによってその表現型の変化を予測するアルゴリズムを開発し、工学的な細胞育種を支援するプラットフォームを構築することである。そこで本年度は、1遺伝子破壊が施されている酵母のライブラリを用いて、遺伝子破壊がエタノールストレス環境下での増殖速度に与える影響を網羅的に測定した。その結果、エタノール耐性に関与すると考えられる遺伝子群の同定に成功し、例えばペルオキシソームがエタノール耐性に関与するという新たな知見を得た。また、1遺伝子発現増強株のライブラリも用いて、1遺伝子破壊/増強が合成培地環境下での増殖速度に与える影響を網羅的に解析した。その結果、破壊や増強によって増殖速度を減少させる遺伝子機能カテゴリの同定に成功した。また、破壊や増強をすることによって、増殖速度を上昇させる遺伝子を同定した。加えて、マイクロアレイによって取得した遺伝子発現量データと、網羅的な遺伝子破壊/発現増強のデータの相関を解析した。結果として、発現量の絶対値が大きい遺伝子を破壊/発現増強した場合に、表現型が変化する確率が大きくなるという相関が見出された。一方でストレス賦与後の発現量変化と、破壊/発現増強での表現型変化の間には相関が存在しなかった。こうした知見は、工学的な分子育種へ向けた基礎的な情報になると期待される
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