研究課題
申請者らの最近の研究で、大脳皮質の脳室下帯のGAD67を発現する細胞のうち約2割がオリゴデンドロサイトマーカーの発現と共存することが分かっている。申請者らはこの細胞は、GABAニューロンとオリゴデンドロサイトを生み出せる共通の前駆細胞であると考えている。我々はこれらの細胞が実際に分裂能を持っているのかを調べるために、GAD67-GFPノックインマウスの胎生12.5日目の内側基底核原基と生後0日目のマウス大脳皮質のGFP陽性細胞をセルソーターを用いて単離し、その分裂能を解析した。その結果、どちらの細胞群においても、分裂能を含むGFP陽性細胞が存在することが明らかになった。驚くべきことに胎生12.5日目の内側基底核原基を由来とするGFP陽性細胞は生後0日目の大脳皮質を由来とするGFP陽性細胞と比べ、約50倍以上の分裂能を保持していた。この結果は、GABAニューロンが分化した直後は、まだ分裂能を保持した細胞が多数存在おり、これらの細胞がGABAニューロンとオリゴデンドロサイト生み出せる共通の前駆細胞であると考えられる。そこで我々は、これらの仮説を証明するために、新潟大学脳研究所の崎村建司先生よりGAD67-creノックインマウスを供与していただき、GAD67-creノックインマウスとレポーターマウスを掛け合わせて、GAD67遺伝子発現細胞の細胞系譜を解析することを試みた。生後1か月齢のマウスの脳を免疫組織化学解析したところ、ほとんどの細胞はGABAニューロン様の形態を持つ細胞であったが、少数のオリゴデンドロサイト様の形態を持つ細胞が、脳梁や、大脳脚、視床に認められた。また、同様に少数のアストロサイト様の形態をもつ細胞も、尾状核、偏桃体皮質に認められた。
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Molecular and Cellular Neuroscience 38(1)
ページ: 66-79
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ページ: 439-451
http://www.medic.kumamoto-u.ac.jp/dept/morneuro/morneuro.html