発生期の特異的な神経回路網の形成は、脳の複雑な機能を支える基盤である。本研究は、特異的神経投射のモデル系である一次嗅覚神経回路において、領域に応じた嗅細胞の分化機構を明らかにすることを目的とした。本研究により、形態形成因子であるBMPファミリーの複数の分子が匂いの感知を行う嗅上皮において、特徴的な発現パターンを示すことが明らかとなった。特に、BMP7は転写因子Pax6と共に、大気中のCO2を感知する特殊な嗅細胞サブタイプCar2細胞において特異的発現を示した。レンチウイルスを用いた機能解析により、Pax6はCar2細胞のシグナル経路の確立に寄与することが明らかとなった。
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