研究課題
研究実施者は、自身独自のアイデアに基づき研究を展開し、世界で初めて、室温条件下よりも体温環境下で海馬神経細胞の興奮性が向上する分子メカニズムを明らかにした(J. Neurosci. 2007発表)。海馬には温度センサー・TRPV4が高発現しており、体温がこのセンサー分子を活性化し、神経興奮性が向上していた。この知見は、なぜ恒温動物の知能が発達しているのかという点に密接に関係すると共に、体温をある種の情報源として、これを翻訳し、神経情報伝達に活かす機構の存在を意味する。しかしながら、有効な測定系が存在しないため、行動パターンに応じて、局所の脳内温度がどのように変化するのかは全くわかっていなかった。これを検証していくためには、実験モデル動物であるマウスの脳内局所温度をリアルタイムに誤差なく測定するための温度プローブの開発が必須であった。そこで、申請者が温度プローブの企画を立案し、中山電気株式会社との(産学官)共同研究により作製を行った。そして、既存の市販品には存在しなかった脳内の局所温度測定を可能にするシステムの構築に成功した(柴崎貢志、中山誠 特許出願中)。本システムの開発に伴い、従来までの手法では不可能であった極限られた局所脳内温度測定が可能になった。その結果、睡眠・覚醒期の移行期に内臓周囲の深部体温が約4℃程度上昇するのに応じて、局所脳内温度が役1.5℃上昇し、TRPV4活性化増大を介して、覚醒期の神経興奮性を増大させていることが考察された。
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http://www.nips.ac.jp/cs/sibaHP/shibasaki.html