レンチウイルスベクターによる視床-大脳新皮質相互結合の定量的解析

2009 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 20700315
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 神経解剖学・神経病理学
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 日置 寛之 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00402850)
• 研究期間 (年度): 2008 – 2009
• キーワード: 神経回路網

研究概要

レンチウイルスは長期発現が可能であるという利点はあるものの、目的遺伝子の発現量が他のウイルスベクターよりも弱いという欠点があった。そこで、神経細胞特異的かつ高発現を可能にするレンチウイルスの開発を進めた。神経細胞特異的プロモーター(SYNプロモーターなど)の制御下でGFPを発現させた場合、ウイルス注入から一週間程度ではGFPの蛍光輝度は非常に弱く、GFPの発現を検出するには免疫染色法が必須となる。そこで、SYNプロモーター下でテトラサイクリン調節性トランス活性化因子(tTA:Tet-Off)を神経細胞特異的に発現するウイルス、Tet応答性プロモーター下でGFPを発現するウイルスを二重感染させるシステムを開発した(Double Lentiviral Vector Tet-Off Platform)。神経細胞特異的に発現したtTAはTREプロモーターを活性化し、その結果GFPの蛍光輝度は40倍程度まで増大した。8週間に渡ってGFPの発現を観察したが、神経細胞特異性に変化はなく、また細胞傷害性も認められなかった。

研究成果

• [雑誌論文] Ischemia-induced neurogenesis of neocortical layer 1 progenitor cells. (2010)
  • 著者名/発表者名: Ohira K, Furuta T, Hioki H, Nakamura KC, Kuramoto E, Tanaka Yasuyo, Funatsu N, Shimizu K, Oishi T, Hayashi M, Miyakawa T, Kaneko T, Nakamura S
  • 雑誌名: Nature Neuroscience 13(2) ページ: 173-179
  • 査読あり
• [雑誌論文] Vesicular Glutamate Transporter 3-Expressing Nonserotonergic Project ion Neurons Constitute a Subregion in the Rat Midbrain Raphe Nuclei. (2010)
  • 著者名/発表者名: Hioki H, Nakamura H, Ma Y -F, Konno M, Hayakawa T, Nakamura KC, Fujiyama F, Kaneko T.
  • 雑誌名: Comp Neurol. 518(5) ページ: 668-686
  • 査読あり
• [雑誌論文] Two types of thalamocortical projections from the motor thalamic nuclei of the rat: a single neuron tracing study using viral vectors. (2009)
  • 著者名/発表者名: Kuramoto E, Furuta T, Nakamura KC, Unzai T, Hioki H, Kaneko T
  • 雑誌名: Cereb Cortex. 9(9) ページ: 2065-2077
  • 査読あり
• [雑誌論文] Inhibitory and ex citatory subtypes of cochlear nucleus neurons are defined by distinct bHLH transcription factors, Ptf1a and Atoh1. (2009)
  • 著者名/発表者名: Fujiyama T, Yamada M, Terao M, Terashima T, Hioki H, Inoue YU, Inoue T, Masuyama N, Obata K, Yanagawa Y, Kawaguchi Y, Nabeshima Y, *Hoshino M
  • 雑誌名: Development 136(12) ページ: 2049-2058
  • 査読あり
• [雑誌論文] Afferent islands are larger thanμ-opioid receptor patch in striatum of rat pups. (2009)
  • 著者名/発表者名: Nakamura KC, Fujiyama F, Furuta T, Hioki H, Kaneko T
  • 雑誌名: NeuroReport 20(6) ページ: 584-588
  • 査読あり
• [雑誌論文] High-level transgene expression in neurons by lentivirus with Tet-Off system. (2009)
  • 著者名/発表者名: Hioki H, Kuramoto E, Konno M, Kameda H, Takahashi Y, Nakano T, Nakmura KC, Kaneko T
  • 雑誌名: Neurosci Res. 63(2) ページ: 149-154
  • 査読あり
• [雑誌論文] Single nigrostriatal dopaminergic neurons form widely spread and highly dense axonal arborizations in the neostriatum. (2009)
  • 著者名/発表者名: Matsuda W, Furuta T, Nakamura KC, Hioki H, Fujiyama F, Arai R, Kaneko T
  • 雑誌名: J Neurosci 29(2) ページ: 444-453
  • 査読あり
• [雑誌論文] Paucity of enkephalin production in neostriatal striosomal neurons: analysis with preproenkephalin/green fluor escent protein transgenic mice. (2008)
  • 著者名/発表者名: Koshimizu Y, Wu S-X, Unzai T, Hioki H, Sonomu ra T, Nakamura KC, Fujiyama F, Kaneko T
  • 雑誌名: Eur J Neurosci 28(10) ページ: 2053-2064
  • 査読あり
• [雑誌論文] Sound-intensity-dependent compensation for the small interaural time difference cue for sound source localization. (2008)
  • 著者名/発表者名: Nishino E, Yamada R, Kuba H, Hioki H, Furuta T, Kaneko T, Ohmori H
  • 雑誌名: J Neurosci 28(28) ページ: 7153-7164
  • 査読あり
• [雑誌論文] Targeting green fluorescent protein to dendritic membrane in central neurons. (2008)
  • 著者名/発表者名: Kameda H, Furuta T, Matsuda W, Ohira K, Nakamura K, Hioki H, Kaneko T
  • 雑誌名: Neurosci Res. 61(1) ページ: 79-91
  • 査読あり
• [雑誌論文] Co-expression of VGLUT1 and VGLUT2 in trigeminothalamic proj ection neurons in the principal sensory trigeminal nucleus.
  • 著者名/発表者名: Ge S-N, Ma Y-F, Hioki H, Wei Y-Y, Kaneko T, Mizuno N, Li J-L, Gao G-D
  • 雑誌名: J Comp Neurol (in press)
  • 査読あり
• [学会発表] パルブアルブミン発現皮質神経細胞への抑制性入力は細胞体周辺部に多い (2010)
  • 著者名/発表者名: 亀田浩司, 日置寛之, 田中康代, 田中琢真, 薗村貴弘, 藤山文乃, 中村公一, 金子武嗣
  • 学会等名: 第115回日本解剖学会
  • 発表場所: 盛岡
  • 年月日: 2010-03-29
• [学会発表] 組換えウイルストレーサーによる単一細胞標識法を用いて、ラットの視床後核群ニューロンの軸索分岐を解析する (2010)
  • 著者名/発表者名: 大野幸, 倉本恵梨子, 古田貴寛, 日置寛之, 椙山加綱, 金子武嗣
  • 学会等名: 第115回日本解剖学会
  • 発表場所: 盛岡
  • 年月日: 2010-03-29
• [学会発表] 後外側核ニューロンの視床皮質投射:ウイルスベクターを用いた単一ニューロンの形態学的解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 中村悠, 日置寛之, 中村公一, 古田貴寛, 金子武嗣
  • 学会等名: 第115回日本解剖学会
  • 発表場所: 盛岡
  • 年月日: 2010-03-29
• [学会発表] VGLUT3発現・非セロトニン作動性神経細胞は投射型ニューロンであり、ラット背側縫線核において亜核を構成する (2010)
  • 著者名/発表者名: 日置寛之, 中村悠, 馬雲飛, 今野美知輝, 早川隆, 中村公一, 藤山文乃, 金子武嗣
  • 学会等名: 第115回日本解剖学会
  • 発表場所: 盛岡
  • 年月日: 2010-03-29
• [学会発表] ラット視床内側腹側核ニューロンの軸索投射を単一ニューロンレベルで解析する (2010)
  • 著者名/発表者名: 倉本恵梨子, 藤山文乃, 古田貴寛, 雲財知, 日置寛之, 金子武嗣
  • 発表場所: 盛岡
  • 年月日: 2010-03-28
• [学会発表] Parvalbumin-expressing cortical interneurons receive GABAergic inputs preferentially on the proximal dendrites. (2010)
  • 著者名/発表者名: Kameda H, Hioki H, Tanaka Yasuyo, Tanaka T, Sonomura T, Fujiyama F, Nakamura KC, Kaneko T
  • 学会等名: The 56th NIBB Conference "Neocortical Organization"
  • 発表場所: 岡崎
  • 年月日: 2010-03-13
• [学会発表] Efficient visualization of central neurons with lentiviral vectors expressing red fluorescent protein. (2010)
  • 著者名/発表者名: Okamoto S, Hioki H, Konno M, Kameda H, Kaneko T
  • 学会等名: The 56th NIBB Conference "Neocortical Organization"
  • 発表場所: 岡崎
  • 年月日: 2010-03-13
• [学会発表] Search for molecular markers of layer VI corticothalamic neurons in the rat neocortex. (2010)
  • 著者名/発表者名: Konno M, Hioki H, Nakamura KC, Kaneko T
  • 学会等名: The 56th NIBB Conference "Neocortical Organization"
  • 発表場所: 岡崎
  • 年月日: 2010-03-13
• [学会発表] ラット中枢神経系神経回路網の解析:ウイルスベクター・遺伝子改変動物を用いて (2010)
  • 著者名/発表者名: 日置寛之
  • 学会等名: 第3回ラットリソースリサーチ研究会
  • 発表場所: 京都
  • 年月日: 2010-01-29
• [学会発表] ラット運動性視床核における大脳基底核および小脳核からの軸索終末の相補的分布 (2009)
  • 著者名/発表者名: 倉本恵梨子, 藤山文乃, 中村公一, 日置寛之, 金子武嗣
  • 学会等名: 第85回日本解剖学会近畿支部学術集会
  • 発表場所: 奈良
  • 年月日: 2009-11-28
• [学会発表] 成熟期大脳皮質に存在する神経前駆細胞 (2009)
  • 著者名/発表者名: 大平耕司, 古田貴寛, 日置寛之, 中村公一, 倉本恵梨子, 船津宣雄, 清水慶子, 大石高生, 林基治, 宮川剛, 金子武嗣, 中村俊
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-17
• [学会発表] ラット体性感覚野におけるconnexin36発現神経細胞の化学的解析 (2009)
  • 著者名/発表者名: 馬雲飛, 日置寛之, 中村公一, 中村悠, 潘世秀, 古田貴寛, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-17
• [学会発表] 大脳皮質興奮性細胞から皮質視床投射細胞への皮質内入力の定量 (2009)
  • 著者名/発表者名: 田中康裕, 田中康代, 今野美知輝, 藤山文乃, 岡本ー古田敬子, 薗村貴弘, 亀田浩司, 日置寛之, 古田貴寛, 中村公一, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-17
• [学会発表] 中脳辺縁皮質系ドパミン細胞の投射様式を解析する (2009)
  • 著者名/発表者名: 松田和郎, 古田貴寛, 中村公一, 日置寛之, 藤山文乃, 安原治, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-17
• [学会発表] 神経発生におけるRho標的分子mDiaの役割 (2009)
  • 著者名/発表者名: 篠原亮太, 上條博史, 日置寛之, 金子武嗣, 石崎敏理, 古屋敷智之, 成宮周
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-16
• [学会発表] ラット運動性視床核における大脳基底核および小脳核からの軸索終末の分布 (2009)
  • 著者名/発表者名: 倉本恵梨子, 藤山文乃, 日置寛之, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-16
• [学会発表] ラット大脳皮質第VI層の皮質ー視床投射細胞に対する特異的マーカーを探索する (2009)
  • 著者名/発表者名: 今野美知輝, 日置寛之, 中村公一, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-16
• [学会発表] RFP発現レンチウイルスによる中枢神経細胞の可視化 (2009)
  • 著者名/発表者名: 岡本慎一郎, 日置寛之, 今野美知輝, 亀田浩司, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-16
• [学会発表] Tet-Offシステム搭載レンチウイルスによる (2009)
  • 著者名/発表者名: 日置寛之, 岡本慎一郎, 今野美知輝, 亀田浩司, 倉本恵梨子, 金子武嗣
  • 学会等名: 神経細胞特異的共発現ベクターの開発第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-09-16
• [学会発表] BAC遺伝子改変マウスを用いた、パルブアルブミン発現皮質神経細胞への興奮性・抑制性入力の定量的解析 (2009)
  • 著者名/発表者名: 亀田浩司, 日置寛之, 中村公一, 金子武嗣
  • 学会等名: 第114回日本解剖学会
  • 発表場所: 岡山
  • 年月日: 2009-03-30
• [学会発表] Tet-Offシステムを介した、神経細胞特異的かつ高発現型レンチウイルスの開発 (2009)
  • 著者名/発表者名: 日置寛之, 倉本恵梨子, 今野美知輝, 亀田浩司, 高橋康尋, 仲野孝史, 中村公一, 金子武嗣
  • 学会等名: 第114回日本解剖学会
  • 発表場所: 岡山
  • 年月日: 2009-03-30
• [学会発表] BAC遺伝子改変マウスを用いた、パルブアルブミン発現皮質神経細胞への興奮性・抑制性入力の定量的解析 (2009)
  • 著者名/発表者名: 亀田浩司, 薗村貴弘, 田中康代, 中村公一, 藤山文乃, 日置寛之, 金子武嗣
  • 学会等名: 第32回日本神経科学学会
  • 発表場所: 名古屋
  • 年月日: 2009-01-06
• [学会発表] ラット視床から大脳新皮質運動関連領野への二種類の投射様式:ウイルスベクターを用いた単一ニューロンレベルでの解析 (2008)
  • 著者名/発表者名: 倉本恵梨子, 古田貴寛, 中村公一, 雲財知, 日置寛之, 金子武嗣
  • 学会等名: 第84回日本解剖学会近畿支部学術集会
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2008-11-19
• [学会発表] 中脳辺縁系および中脳皮質系ドーパミン神経細胞の投射様式を解析する (2008)
  • 著者名/発表者名: 松田和郎、古田貴寛、中村公一、日置寛之、藤山文乃、新井良八、金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-11
• [学会発表] 神経細胞に逆行性感染するSindbisウイルスの開発 (2008)
  • 著者名/発表者名: 今野美知輝、日置寛之、古田貴寛、中村公一、三橋賢大、金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-11
• [学会発表] 高効率ゴルジ染色様標識による大脳皮質視床投射神経細胞の可視化:樹状突起移行性GFPを発現するアデノウイルスを用いた逆行性標識 (2008)
  • 著者名/発表者名: 田中康裕、田中康代、古田貴寛、日置寛之、亀田浩司、金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-11
• [学会発表] ラット視床から大脳皮質・運動関連領野への投射様式を単一ニューロンレベルで解析する (2008)
  • 著者名/発表者名: 倉本恵梨子、古田貴寛、中村公一、日置寛之、雲財知、金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-10
• [学会発表] 大脳皮質視覚野における単一視床ニューロンの軸索分枝 (2008)
  • 著者名/発表者名: 中村悠、日置寛之、中村公一、古田貴寛、金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-10
• [学会発表] Truncated TrkB-T1による樹状突起形成の制御 (2008)
  • 著者名/発表者名: 大平耕司, 古田貴寛, 日置寛之, 中村公一, 金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-09
• [学会発表] Tet-Offシステムを介した、神経細胞特異的かつ高発現型レンチウイルスの開発 (2008)
  • 著者名/発表者名: 日置寛之, 倉本恵梨子, 今野美知輝, 亀田浩司, 金子武嗣
  • 学会等名: 第31回日本神経科学学会
  • 発表場所: 東京
  • 年月日: 2008-07-09
• [備考]
  • URL: http://www.mbs.med.kyoto-u.ac.jp/