21年度はCREBのリン酸化を検知する2分子型プローブの最適化に注力した。具体的には、CREBのリン酸化部位であるKIDドメインと、リン酸化したKIDドメインに結合するCBPのKIXドメインにそれぞれスプリットルシフェラーゼを融合させたプローブ蛋白質を作製し、細胞株に遺伝子導入し、フォルスコリンでKIDドメインのリン酸化を誘導した際の発光上昇を計測した。その結果、20年度に作製した2分子型プローブに比べ、5倍程度発光量の大きいプローブを作製することに成功した。また2分子型プローブでは、リン酸化されるセリン残基をアラニンに置換すると、フォルスコリン投与によって誘導される発光上昇が見られなくなるので、セリン残基のリン酸化を検知して発光上昇することも確かめられた。さらに2分子型プローブを一つのプラスミドで遺伝子導入するため、IRES配列を用いて一つのmRNAに2つのプローブの配列をコードさせることも試み成功したので、トランスジェニックマウス作製などの実験に用いる予定である。またレンチウイルスを用いて培養細胞に遺伝子導入する実験系の構築も開始した。この方法は遺伝子導入効率の低い神経細胞などに特に有効であると考えられる。今後はシナプシンやCaMK2など神経細胞特異的なプロモーターとレンチウイルスを組み合わせることで、神経細胞特異的にプローブ蛋白質を発現させることを試みる。生きた動物の脳にレンチウイルスを打ち込むことも計画中である。1分子型プローブに関しては、20年度に作製したプローブからの改良は達成できなかった。計画していたBRET効果を取り入れることによるプローブの改良は、引き続き22年度の目標とする。
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