研究課題
統合失調症は世界人口の約1%で発病がみられる重篤な精神障害である。統合失調症の発症原因は未だ明らかにされていないが、中枢神経系の発達障害が発症原因の一つであると考えられている。本研究では、統合失調症脆弱性因子DISC1とその結合蛋白質の生理機能を明らかにすることにより、統合失調症発症の分子メカニズムを理解することを目的とする。(1) DISC1の活性制御機構の解明 : これまでに、DISC1の活性制御機構にDISC1のリン酸化が関与している可能性が高いという予備的な結果を得ている。H20年度は、DISC 1の責任リン酸化酵素としてERK、PKA、Rho-kinaseを同定した。(2)DISC1の軸索伸長に関する作用機序の解明 : H20年度は、DISC1がLIS1の局在を制御することで微小管+Tipsやその結合蛋白質IQGAPの局在化制御することを明らかにした。(3)シナプス形成・成熟におけるDISC1の機能解析 : ラット海馬初代培養神経細胞を用いて、DISC1の発現抑制によりシナプス形成が成熟しないことを見出した。(4)DISC1変異による統合失調症の病態解明 : 統合失調症と関係の高い704番目のセリン型DISC1、難治性大うつ病と関係の高い704番目のシステイン型DISC1の機能の違いを解析するために発現系を確立した。(5)統合失調症モデルマウスの作製と解析 : DISC1のノックアウトマウスは作製継続中である。以上の結果から、平成20年度の研究計画はほぼ達成されたものと考えられる。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Neurochemistry International (In press)
Human Molecular Genetics 17
ページ: 3212-3222