研究概要 |
miRNAは20塩基程度の短いnon-coding RNAであり標的となるmRNA会子を認識しそのmRNAからタンパク質への翻訳を阻害することで、遺伝子の発現を転写後に調節していると考えられている。研究代表者は,とれまでに、任意のmiRNAノックアウトしたマウスを作製し、そのマウスの表現型の解析を通して、miRNAが寄与する生命現象を明らかにすることができた。より詳細に解析をすすめるために、in vitroの培養系での解析を行った。まず、標的となりうるmANAをmiRNAのseed配列をもとに解析したところ、約1000遺伝子がその候補としてあがってきた。すべての遺伝子について検討することは不可能であることから、(1)ヒトとマウス間で共通(2)1つの標的遺伝子内に複数の標的配列をもつことに着目し順位を付けた。次に、miRNA発現ベクターとDsRed2をレポーターとしてその下流に標的配列を含む標的配列解析ベクターを構築した。これらのベクターを任意のmiRNAが発現していないことを確認しているHEK293細胞に導入し、miRNAによる標的遺伝子の翻訳抑制効果をDsRed2の蛍光を指標として蛍光プレートリーダーを用いて計測した。その結果、10遺伝子内の標的配列の内8遺伝子について標的遺伝子である可能性が示唆された。さらに、その内2つの遺伝子が強く抑制されていることがわかり、miRNAの標的候補遺伝子を絞り込むことができた。これらのin vitroの培養系で絞りこんだ遺伝子について、生体内での生命現象に寄与しているか否かを検討するために、表現型が見られた組織での発現を確認した。その結果、1つの遺伝子が標的組織で強く発現していることを見出した。
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