in vivo RMCEシステムの開発については、2008年度に既に成功し、ルーチンに動いている。2009年度は、1)in vivo RMCE法を用いて作製したマウスにおける、導入遺伝子発現の安定性の検証と、2)本手法のノックダウンマウス作製への応用を行った。 1)これまでに、様々な蛍光遺伝子を強発現するトランスジェニックマウスを本手法で作製している。今回、その発現の強さ、安定性、再現性について、蛍光発現を指標に調べた。その結果、安定した強い蛍光が、全てのマウス系統で確認された。既存の蛍光遺伝子発現マウスよりも広範囲の組織で再現性よい発現バターンを示していたことから、従来の手法(ランダム挿入によるトランスジェネシス)の欠点が大きく改善されたと書えるだけでなく、これらのマウスが移植実験やキメラ解析等に有用なリソースとなりうることも期待された。 2)導入遺伝子の再現性良い強発現が可能である本手法が、ノックダウンマウス作製に応用可能であることを示した。今回は、毛色で容易にノックダウン効果が判別可能であると期待されるチロシナーゼ(Tyr)遺伝子をターゲットとした。ノックダウン効果のある人工miRNAの選別を細胞レベルで行った後、in vivo RMCE法を用いて実際にTyrノックダウンマウス作製を行った。その結果、miRNAトランスジェニックマウスでは、野生型マウスと比較して薄い毛色を示していた。Tyr遺伝子mRNA量も10-20%程度に減少していた。内在性miRNA経路を飽和してしまうことによる致死的な影響もないようである。 以上の結果から、確立したin vivo RMCE法とそれによる強発現システムは、個体レベルでの「gain-of-function」、及び「loss-of-function」解析を目指した遺伝子改変マウスを作製する上で、非常に強力な手法となりうると言える。
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