高速なラインカメラを検出器とするタイムドメイン(TD)OCTの開発を目的とした。これまでTD-OCTの高速化のため、線状な光をプローブ光、回折光を参照光に用い、2次元カメラを検出器とする非走査OCTの研究を行ってきた。2次元InGaAsカメラ(320×256画素、60フレーム/秒、露光時間1ms)を用いた非走査OCTでは、擬似シングルショット法により、1回のカメラ計測で1枚のOCT画像が得られるようになった。これにより点検出TD-OCTに比べ、高速にOCT画像が得られるようになった。しかし、フレームレートは2次元カメラにより制限され、計測のDuty比(露光時間/フレーム間隔)は6%と低かった。また線状なプローブ光において、クロストークや収差の影響による分解能の劣化という新たな問題が生じていた。そこでこのような問題を解決するため、本件急に至っている。開発した光学系において、光源である1.3μm帯SLDから出射した光は、ビームスプリッタで参照側とサンプル側に分割される。参照側には、回折格子をリトロー配置に設置し、空間的な光路差を発生させる。サンプル側ではガルバノミラーでビームを走査する。参照光がレンズによりInGaAsラインカメラ(512画素、47kHz)に結像され、サンプル光と干渉することで、深さ情報が獲得できる。システム評価した結果、最小検出感度は93dB、75%の高いDUTYを実現した。また94フレーム/秒で生体計測が可能であった。
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