近年の高齢化社会に向けた在宅医療サービスの向上および生活習慣病予防、予後、健康維持・管理への関心の高さから在宅医療において糖尿病や癌、インフルエンザ、ヒト免疫不全症候群(HIV)等の病態の把握・疾病予防のため、簡便かつ短時間に生体情報取得が可能な簡易診断用バイオセンサーが求められている。しかし、現在の主たる診断用バイオセンサーは疾病の指標となるマーカー分子を検出・定量するには専門の分析機関に依頼をする必要があり、結果が得られるまでに長い期間と高額な費用を要する。これは被験者にとって精神的不安および金銭的な不安をあおることとなる。 そこで本研究では金や銀などの貴金属ナノ粒子より発現される光学特性である局在表面プラズモン共鳴(Localized surface plasmon resonance : LSPR)とイオン強度や温度等外部環境の変化に対して特異的に膨潤・収縮特性を示す刺激応答性高分子との複合材料を用いた簡易診断用バイオセンサーの構築を行った。これら複合材料を簡易診断用バイオセンサーとして用いることで、簡便かつ安価に各種疾病を検出可能となるとともに、在宅医療への応用が期待できる。 本年度では、バイオセンサー構築に使用する貴金属ナノ粒子がDNAや抗体をはじめとするタンパク質などの生体分子に対して示す光学特性について検討を行うとともに、バイオセンサーを構築し、血糖値の指標であるグルコースの検出・定量を行った。
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