研究概要 |
本研究では,装着型小型姿勢センサの開発を行っている.本年度は,センサモジュールの小型化と,開発したセンサモジュールを用いた医療手技訓練システムの構築に取り組んだ. センサの小型化は,最新の3軸加速度センサ,3軸ジャイロ,3軸地磁気センサを組み合わせることで実現した.それと平行して,バッテリーとmicroSDカードを組み合わせた単独動作が可能なモジュールも開発した.今後は,モジュールとPC間の通信の無線化を行い,ユーザビリティーを向上させる. 医療手技訓練システムの構築においては,腹腔鏡手術トレーニングを対象と定め,臨床医の協力のもと実験を実施した.腹腔鏡手術とは,小型カメラと特殊な器具を体表にあけた小さな穴から腹腔内に挿入し,カメラ画像をもとに特殊な器具を操作して,組織の切除や縫合を行う手術である,現在は,この手技の習得を目的として,腹腔内に見立てたボックスを使用した訓練が行われている.本研究では,手技水準が異なる2群の被験者(熟練医と研修医)を用意し,それぞれの被験者に小型姿勢センサを貼り付け,ボックストレーニングを行わせた.本トレーニングでは,手技水準の相違がデータに現れやすいと思われる複数のタスクを設定した.実験の結果,小型姿勢センサから得られるデータを用いて,手技水準の評価が可能であるということが示唆された.今後は,このデータの解析を進めて,評価関数の構築と医療手技訓練システムの完成を目指す.
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