研究概要 |
1.画像処理によるニワトリ初期胚および周産期の体動解析 昨年度までに構築したニワトリ初期胚の体動録画システム及び画像処理による体動解析システムを用いてより詳細な解析をおこなった.その結果,昨年度明らかになった1次元的な運動から2次元的な運動になる際に,孵卵約85時間において一時的に周期性をもつことがわかった.この周期性が生理学的に何に起因しているかは今後の研究を待たねばならないが,この周期性の有無を調査することで初期胚の成長が早かったり,遅れていたりと言うことを診断する一つの指標になり得ることが明らかになった.さらに,病態モデルとして低酸素状態における体動解析システムを構築した.15-20%の酸素濃度下における体動録画に成功し,3例について解析を進めることができた.残りの計測例については今後解析を進めていくが,これらの例から低酸素状態では体動総量が明らかに少なくなっており,通常胚の指数関数的な増加に対して単純比例程度であることが明らかになった.この結果もまた,累積される成長異常に数理モデルを当てはめることでその異常を予知できる可能性を示唆しており,今後の発展が期待できる. 2.電磁波の胚への影響に関する基礎研究 平成22年度は電磁波環境における低ノイズ心電図計測システムを構築して,心拍ゆらぎについて調査した.計測システムを構築し,計測をおこなったが,電磁波照射に特有と思われる心拍ゆらぎは現れなかった.しかしながら,心拍ゆらぎへの影響については電磁波照射時間,累積時間,また一番影響のある時点(つまり,どの器官の形成時にもっとも影響があるのか?)などについてさらに研究を進めて行く必要があるため,今後の継続課題である.
|