研究概要 |
本研究では, オンラインで学習するCAD(計算機支援画像診断システム)のためのオンライン学習型臓器認識アルゴリズムの開発を目的とし, 気管支分岐バリエーションの記述法およびその統計データを利用したオンライン学習型認識アルゴリズムに関して以下の課題について検討した. 1. 気管支の分岐バリエーション記述法分岐のバリエーションを記述の方法として, 枝ごとに分岐数や分岐方向, その頻度などを特徴量として学習するアプローチについて検討した. 100例のデータ解析の結果, 右上・中・下葉, 左上・下葉それぞれで5〜20パターンのバリエーションがあり, 全体としてみるとおよそ1万個のバリエーションがありうることが分かった. 2. オンライン学習型臓器認識アルゴリズムについてAdaBoostに基づく気管支枝名対応付け手法を開発した. 特徴量として, 肺野における位置, 支配領域に関する特徴量が有効であることが分かった. 3. 画像データ収集と気管支木構造正解データ作成名大医学部において日々撮影される画像データを収集し, 20年度は約200例のデータが集まった. このうち, 手入力により100例の気管支木構造で正解データを作成した. 4. 手法評価気管支拡張症等の気管支の構造に変化が見られない画像データ100例を用いて, L法による評価実験を行った. 認識性能は, 区域支までの枝に対して約91%, 亜区域支までの枝に対して約86%と従来に比べて約5%の向上を達成した.
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