研究概要 |
気管支に加え,肺血管を対象として,その分岐バリエーションの記述法およびその統計データを利用したオンライン学習型認識アルゴリズムについて以下の検討を行った。 1.気管支・血管の分岐バリエーション記述法 機械学習アプローチでは,学習パターンが増えるほど認識性能が向上・安定するが,統計的にどちらとも判別しがたい場合に認識性能が低下することがあった(国際会議IFMIA2009にて発表).一方,有りうるパターンを調べ上げ,そのパターン数だけモデルを用意するアプローチはモデルパターンに合致する場合には正確に認識できるという利点がある.そこで,お互いの長所を融合した,局所的バリエーションと大局的バリエーションの両方を対処可能な分岐パターンモデルについて検討した.また,腹部血管に関しても,それぞれについてバリエーション記述法を検討した. 2.オンライン学習型臓器認識アルゴリズムについて 昨年度に引き続き,オンライン学習型気管支領域抽出および気管支枝名対応付け手法の高精度化を図った.また,同様の手法を腹部の主要血管構造に応用し,正認識率約88%を達成した.腹部血管では,解剖学的名前のない細い分枝があるが,これにも対処できるようにアルゴリズムを工夫した. 3.画像データ収集と気管支・血管木構造正解データ作成 名大医学部において日々撮影される画像データのうち,使用許可の下りたものから患者の個人情報を削除してデータを収集した.また,手法を評価するための木構造正解データを作成した. 4.手法評価 気管支枝名対応付け,および,腹部血管枝名対応付け手法をL法によって評価したところ,それぞれ約90%(区域支まで),88%という精度を確認した.
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