研究概要 |
本研究の目的は, MR画像に基づいて皮質および白質での脳機能情報を解析し, 可視化する手法の開発である. これを実現するため当該年度では, 拡散テンソルMRIデータに含まれる非拡散強調画像に対する, 脳機能領野の同定手法の開発を目指した. 脳機能領野同定の前処理として、画像内の脳領域に対する白質・灰白質・脳脊髄液領域の抽出が必要であるため, 以下の領域抽出手法の開発と、評価用のファントム作成を行った. 1. 拡散テンソルMRデータに基づいた白質・灰白質・脳脊髄液領域の抽出手法の開発 拡散テンソルMRデータから得られる固有値画像ADC画像FA画像を用いて, 部分体積効果を考慮した新たな白質・灰白質・脳脊髄液領域抽出手法を開発した. また従来手法(部分体積効果を考慮していない)を実装し, 下記のデジタルファントムを用いて提案手法と従来手法の性能評価を行った. 2. 拡散テンソルMRデータ用のデジタルファントムの作成 領域抽出手法の性能評価には, 抽出対象領域が既知であるデジタルファントムが用いられている. しかしながら先行研究で提案されている拡散テンソルMRデータ用のデジタルファントムでは, 拡散テンソルMR撮像で問題となるノイズや部分体積効果を考慮していない. このため本研究では, 拡散テンソルMR画像で問題となるノイズと部分体積効果をシミュレートしたデジタルファントムを作成した. これを用いて上記の提案手法と従来手法の性能評価を行った. この結果, 従来手法に比べ提案手法で各領域の抽出精度が向上したことが確認された.
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