平成21年度は、前年の20年度に行った脳領域抽出の改善・中心溝の位置検出の改善・脳溝の同定・効果的な3次元可視化手法の提案・脳外科医による評価について、ユーザインターフェースという観点から、利用する医師にとって利便性が高いシステム構築に取り組んだ。また、20年度に行った中心溝の位置検出では、一部の症例において、他の脳溝が中心溝と誤判定される場合があったことから、21年度ではこの問題点の改善を行い、誌上発表を行った。具体的には、これまでの研究で得られた脳外科医の評価において、「脳のみの表示」や「脳に脳溝を重ねて表示」、「脳の断面表示」などを切り替えて表示する機能を希望する医師が多かったことから、マウスやキーボードで簡単に操作できるシステム開発を行った。また、中心溝の位置検出においては、これまでの「中心溝が比較的長く分岐が少ないという特徴を基に、各脳溝の特徴適合率を算出し判定を行う」という手法で、これらの特徴に適合する脳溝が複数判定される場合があったことから、中心溝が一定の角度範囲に存在する脳溝である点に注目し、判定条件に角度情報を加えることで位置推定率の改善を行った。これを脳腫瘍症例データに適用した結果、高い精度で中心溝の位置を同定することが可能となった。さらに21年度は、脳溝の構造を位相画像から捉える試みを行ったり、CT画像への適用実験などの研究展開を行った。これらの研究成果については、次項11に記載する学会や論文誌にて成果発表を行った。
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