研究概要 |
本研究では安全で高度な内視鏡下胎児手術をサポートするシステムとして、(1)低侵襲性の向上と術具機能の確保を両立させるために、腹腔内で先端部が変形することで内視鏡手術用デバイスとしての機能を持つエンドエフェクタ「変形駆動」機能を持つ新しい手術デバイスと、(2)3次元超音波画像診断装置と手術ナビゲーションを用いて、手術ナビゲーションとしての術野情報・術具位置姿勢提示機能のみならず、子宮内組織と術具との距離(接近度)を術者に提示する「近接覚」提示機能を備えたリアルタイム3D超音波ナビゲーションの開発を行った.本年度は(1)細径鉗子本体の幅を超えた大きく幅のある開口部を持つ把持監視の変形駆動機構の検討を行い,φ8mmでの開発・試作を実施した.評価の結果,市販の内視鏡鉗子に匹敵する十分な把持力が得られ,1分程度で変形・分解が可能であり,in vivo実験にて臓器把持が可能であったことから,本機構が把持鉗子として有用であることを確認した.また(2)昨年度開発したシステムの基本特性として,ナビゲーションシステム精度と更新速度の評価を行った.超音波プローブ面中心から10cm直下周辺80mm四方のエリアにおける,ターゲット点ポイント誤差は平均約3mm・最大4.5mmであった.子宮・胎児ファントムと胎児内視鏡を用いたファントム実験(3D超音波ボリュームデータは2Hzで取得)において,すべてのレンダリングウィンドウを含む画像更新速度は約200ms~500msとなり,3D超音波診断装置の撮像速度に匹敵する更新速度を達成した.
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