研究概要 |
左半側空間無視症状に対する治療介入方法であるプリズム順応課題の効果を検討する.検討の前に,効果的な順応課題の条件を設定するとともに感度の高いと考えられる効果判定のための検査課題の作成を行う. (1)プリズム順応課題の条件設定 被検者は,プリズムレンズの付いた眼鏡をかけて,目の前に提示された左右の視標に向けて到達運動を繰り返す.その際,順応効果を得るためには直線的な軌跡で素早い動作が要求される.しかしながら,患者の中には左右の視標のうち,左側の視標を見つけることが困難な場合がある.そのため,左側の視標が見つけやすく,円滑な到達運動が可能となる視標の提示方法を検討する. (2)新たな検査課題の作成 従来の半側空間無視に対する評価ではプリズム順応効果を鋭敏に反映しない可能性がある.また,これまでにプリズム順応課題を用いた報告において,半側空間無視の下位分類に基づいた評価方法は採用されていない.これらの点を考慮した評価方法を考案し順応効果の判定に用いる. (3)患者特性とプリズム順応効果との関連についての検討 得られた検査結果より,プリズム順応効果と患者の左半側空間無視症状や病巣部位との関連を検討し,どのような症例であれば,順応効果が期待できるかを明らかにする.
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