研究課題
自己関連情報は「自己肯定性」と関係が深い.この「自己肯定性」を守るために、葛藤状況下でヒトがどのような情報処理を行っているのか、また男女で脳内情報処理過程にどのような違いがあるのかについて明らかにすることを目的として、本研究では"潜在的態度"の測定方法として開発された潜在連合テストを用い、自尊心潜在連合テスト実施時の葛藤状態の脳活動とRosenberg自尊心検査ならびにパーソナリティ検査のスコアとの関連性を検討した.実験はInauisit2.0を用いて自尊心に関連する潜在連合テストを作成し、公募により集めた健常成人26名(男性14名、女性12名)を対象にfunctional magnetic resonance imaging(以下、fMRI)を用いて実施した.平成20年度は葛藤条件下での全被験者の脳活動を分析した.平成21年度は、被験者を男女の2群に分けて統計分析を実施し、男女における葛藤条件下の脳活動の際について検討した.その結果、葛藤状況下において男性では背内側前頭前野、腹内側前頭前野、後部帯状回、後部上側頭溝、海馬傍回の活動が認められたのに対し、女性では内側前頭前野、腹内側前頭前野、前部帯状回、上・下頭頂小葉、視覚関連領野が活動していた.さらに、男性の背内側前頭前野の活動はRosenber自尊心尺度のスコアと正の相関関係を示したのに対し、女性では腹内側前頭前野とRosenbergスコアが負の相関を示した.男女の結果ではパーソナリティ検査との相関は認められなかった.このことから、男女共に葛藤時に自己意識に関わる領域が活動していたが、女性は自己の認知的な感情調節が努力的に行われていた可能性が考えられる.このことは、女性でより鬱病や不安障害の発症率が高いことを説明する根拠となりうる.
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5^<th> World congress of the international society of physical and rehabilitation medicine (ISPRM) proceedings
ページ: 792-793
第43回日本作業療法学会 抄録集
ページ: 83
第33回日本高次脳機能障害学会学術集会 抄録集
ページ: 191