平成22年度は、昨年度に引き続き対象者に対して実施した遠隔言語聴覚療法の治療効果に関するデータを集めた。これまでのデータを基に、同じ治療を対面で実施した場合と遠隔言語聴覚療法で実施した場合とで、比較し対面での実施に比べて治療効果に差がないことと、治療期間もほぼ同じであることについてまとめ、海外雑誌に投稿して掲載された。また、本研究のために構築したシステムがセキュアであること、また遠隔側のスタッフや対象者にとって扱いやすいものであることについて、海外学会で発表した。 さらに、本研究の最終まとめとして、本システム構築のための初期費用や回線使用料などの維持費用と、対面で同じことを行った場合の、対象者の病院などへの交通費や付き添い者である親が仕事を休んだ時間の給与の損失額などを推定し比較することによって、本システムを使ってセラピーを実施する方がコストを大きく抑えることが可能であり、経済的にも実用可能性が高いことを示した。この成果に関しても海外雑誌に投稿して掲載された。 これらの成果を、実用化し通常の方法の一つとして行っていくためには、資格制度の問題や費用徴収の方法などを含めた持続可能性について検討をする必要があるが、本年度は米国のCCC-SLP資格と日本の言語聴覚士資格を持った研究協力者と共に検討を行った。
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