研究概要 |
本研究では羞明を軽減する視覚補助具である遮光眼鏡の装用によって,見え方のどのような側面が変化するかについて調べることで,装用効果を調べる評価法について検討することを目的としている。平成21年度の研究かち,色分類題を券行うカテゴリカル色知覚が有用であることが示唆された。そこで平成22年度では,まぶしさの原因となる太陽光の照明下で,装用するフィルターの遮断波長を変化させたときのカテゴリカル色知覚の特徴の変化について詳細に調べ,色分類傾向が変化する遮断波長を明らかにすることを目的とした。 研究は短波長を遮断し長波長を透過させる遮光眼鏡と類似した透過特性を持っており遮断特性を系統的に変化させたロングパスフィルター7種類(遮断波長は400-500nmの範囲)を用いた。被験者は色覚正常者10名であり,各フィルター装用条件で人工太陽照明灯によって照明されたマンセル色票を11の色カテゴリーに分類する課題行った。その結果,460nm以下の波長を遮断するフィルターを装用すると,非装用時とは分類傾向が明らかに変化することがわかった。これはどの明度の色票でも共通しており,420nmにピーク感度のあるS錐体を刺激する波長が遮断されているためであると考えられた。 以上の結果から,色覚正常者の場合,カットオフ波長が460nm以上のフィルター装用によって色分類傾向は変化することが明らかとなった。非装用時と色の見え方が同じ遮光眼鏡と異なる遮光眼鏡が存在し,色知覚は遮光眼鏡め撰定に際し重要な基礎資料となる可能性が示唆された。
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