部分免荷歩行訓練を簡便に行う懸垂式歩行訓練装置(BWS walker)を用いた場合の理学療法士の運動負荷をこれまでの一般的な訓練方法と比較検討した。 対象:歩行訓練に長下肢装具と杖および理学療法士の介助が必要な脳卒中片麻痺患者の歩行訓練時に普段から介助している理学療法士 計測:理学療法士が携帯式呼気ガス分析装置を装着し、患者の歩行訓練を介助する際の心拍数・酸素摂取量をブレスバイブレスにて連続的に計測 平成20年度の計測結果では、一般的訓練よりもBWS walkerを用いた歩行訓練が心拍数は低く、1名において酸素摂取量も少ないなど、BWS walkerを用いた歩行訓練が一般的歩行訓練よりも理学療法士の運動負荷が少なかった。ただし、2名の患者の歩行習熟度に違いがあった。患者の習熟度が高いと、一般的訓練でもそれを介助する理学療法士間の身体的負荷が軽く酸素摂取得量に変化がでない可能性もあるため歩行習熟過程にある患者を介助する際の検討を予定していた。しかし、これまでは通常年間5-10例の患者が長下肢装具を用いてリハビリテーションを行っていたのだが、本年度は長下肢装具を作製する患者が年間1名と例年より極端に少なく、当該患者には参加の同意が得られなかった。本研究は歩行訓練時の介助負担を検討しているため、すでに歩行能力が安定した慢性期の患者は、歩行に長下肢装具が必要であっても評価対象として適当ではない。今後は対象を歩行習熟過程にある脳卒中片麻痺患者を介助する理学療法士として引き続き検討してゆく。
|