これまで研究者が開発を行なってきた路面に凹凸のない視覚障害者用誘導帯(フラット型エスコートライン、以下『FEL』と記す。ゴムチップおよびウレタン樹脂で形成、触感の違いで認知できる誘導帯)の改良と応用に関しての研究を行った。 改良に関しては、本年度はこれまでに大学キャンパス内に設置してきた誘導帯の耐久性の観察を行ないながら、破損が著しくなった時点で、その観察から問題点・改良点・補修方法を検討する予定であった。しかしながら、際立った破損が見られなかったために今年度は観察を行なうに留まった。次年度以降に観察を継続し、破損が著しくなった時点で問題点・改良点・補修方法を検討する予定。 応用に関しては、歩道部分におけるキャッチブロックとしての利用可能性の検討を行なった。実験フィールドとして模擬的な歩道(約40m)を作成し、その上に通常の誘導用ブロックおよびFELをキャッチブロックとして設置し、11名の視覚障害者に利用してもらった。認知度の観察を行うと同時に、利用した際の感想を得た。白杖での認知度は、誘導ブロックに比較しFELの方が有意に高い。『白杖で探った場合、FELの方が判りやすい』という意見も多かった。一方で、足裏での認知となると、FELの認知度は誘導ブロックに比較して低くなり、『足だけでは見つけづらい』との意見も多かった。総合的には60cm幅のFELの認知度は誘導ブロックより若干低い程度であったが、FELの幅が30cmと狭い場合には著しく低い。これは杖の振り幅が大きくなった際に、杖がFELをまたいでしまうからだと思われる。また『白杖・足の双方で分かる事で、安心感がある』との報告もあった。これらより、今後はFEL単独ではなく、他の情報(例えば既存の誘導用ブロック)との使い分けや相互補完を検討し、より有効な情報提供を模索する。
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