研究概要 |
本研究課題では, 剛体リンク動力学モデルと有限要素モデルを統合し, 生体の軟部組織と外部環境との接触に起因する変形を考慮することのできる動力学的義足歩行動作シミュレーションモデルを開発する. 今年度は, シミュレーションモデル開発の準備として有限要素モデルと剛体リンクモデルそれぞれの作成およびモデルの妥当性検証のための実験の準備を行った. 具体的な研究実績は下記の3点でまとめられる. (1) 足部の有限要素モデルの作成 : 足部の骨26を考慮し, それらを関節軟骨および靭帯で接続した有限要素モデルを作成し, 予備的な検証として静的な荷重条件で応力解析を行った. (2) 大腿義足シミュレーションモデルの作成 : 大腿義足使用者を剛体リンクでモデリングし, 申請者が開発している順動力学的動作生成手法を導入することで実際の大腿義足歩行を定性的に再現する歩行動作を生成した. (3) カセンサシートを用いた接触力測定手法の検討 : 薄型力センサをアレイ状に配置し, 接触力の分布状態を取得することができるシステムを製作し, 計測実験による検討を行った. 計測データはセンサの接触状態やその時間的な変動に大きく影響されることが明らかとなり, 接触状態も含めて計測する手法の開発, あるいは接触状態を規定する計測プロトコルが必要であることがわかった.
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