ユニバーサルデザインに配慮した居住環境を構築する上で、住宅の設備機器や福祉用具には快適性が必要不可欠となる。本研究課題では、この快適性のうち、現状では快適性についての評価が未だ十分に行われていない機器・用具表面の触覚(接触感)に着眼し、実際の使用状況に即した抽出分析を行い、それを用いて物理量に基づいて指標化を行うことにより、福祉用途に使用する材料選択の科学的根拠を与えるとともに、接触快適性の指標を提案することを目的としている。 手すりに対して抱いているイメージとして昨年度KJ法により分類した、(1)視覚的・概念的なイメージ、(2)清潔・嗜好性に関するイメージ、(3)安全性に関するイメージ、(4)触覚によるイメージの4つのカテゴリーについて、2カ所の高齢者デイケア施設に手すり使用感評価装置を施設に持ち込み、金属製、プラスチック製、木製の手すりについて施設職員および施設利用者を被験者とした使用感に関する質問紙調査を行い、これらの重要度を明らかにした。 触感に関しては、「冷たさ」、「やわらかさ」、「肌触りの良さ」、「ざらざら感」、安全性と関係する表面性として「すべりやすさ」が抽出された。抽出された表面性・接触感因子のうち、「やわらかさ」、「肌触りの良さ」、「ざらざら感」、「すべりやすさ」を左右していると考えられる材料の表面形状について、顕微鏡レベルの微細な構造を非接触方式で、またミリオーダーの表面性状を触針方式で測定し、得られた結果を基に評価した。
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