研究概要 |
電気刺激誘発の骨格筋収縮において, 単発付加後張力増大現象(catchlike property)が効率よく発生するための一定頻度刺激の周波数を定量化することを研究目的とした. 対象は, 成人健常者7名の右脚足関節底屈動作とした. 実験は, 5, 7.5, 10, 12.5, 15, 17.5, 20Hzでの一定頻度刺激(CONT)およびCONT刺激に刺激開始1秒後に単発の刺激を加えた刺激(CATCH)を行った. なお, CATCHにおいては, 単発刺激を加えた時点での瞬時刺激周波数は50Hz(20ミリ秒間隔)であった. CONTおよびCATCH条件での刺激は2秒間行った. 同一の刺激周波数におけるCONTとCATCHとの力の差分(単発刺激による力の増加・維持量)を算出し, 単発刺激後張力増大現象を誘発する最適な一定刺激周波数の同定を試みた. その結果, 対象者によって多少のばらつきは認められたが, 10Hz以下の刺激周波数では張力増大現象が一時的に発生するだけであり, 維持はされなかった. 一方, 12.5Hz以上の刺激周波数では張力増大現象が維持されることが多く, 17.5Hzでの刺激周波数が統計学的に最も力の増加・維持量が大きかった. 筋電図測定によるM波の振幅値は, 単発刺激付加前後において差は生じなかったことから, 張力増大現象(catchlike property)は運動単位の新たな参加動員が要因ではないと推察された. 本研究の結果より, catchlike propertyが発生・維持されるためには, ある程度高いbackgroundの刺激周波数が必要であることが示唆された.
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