本研究は、子どもの「意欲」(積極的に何かをしようと思う気持ち)を育む身体教育活動として野外教育プログラムをとりあげ、「適応」の観点からその教育効果の解明をめざすものである。平成21年度は、平成20年度実施の調査結果について、学会発表2件を行った。長期キャンプ参加者(小中学生)の自己成長性とレジリエンスの変化について、その特徴をみることを目的とした調査の報告であり、自己成長性得点、レジリエンス得点、感情調整得点、状況打開意欲得点、前向き柔軟思考得点にキャンプ初日と最終日の差が認められ、キャンプ前後でキャンパーの自己成長性および精神的回復力が向上したことが認められた。また、平成21年度の研究計画では、野外教育指導者へのインタビューを行い、それを基礎として仮説の洗練を行う予定であったが、研究進捗上の都合により研究実施の順序を変更した。具体的には、平成22年度夏から23年度夏にかけて実施する本調査に先立ち、幼児期および児童期~青年期を対象としたプログラムの準備のための予備調査を実施した。幼児を対象としたキャンプ(1泊2日~2泊3日)、児童を対象とした長期キャンプ(8泊9日)、青年(大学生年代)を対象とした長期キャンプ(8泊9日)のそれぞれについて、平成22年度実施予定の調査研究実施に関する連絡調整を行った。また、児童を対象とした短期キャンプ(1泊2日)、青年(大学生年代)を対象とした短期キャンプ(1泊2日)については、予備キャンプを実施し、プログラム内容および生理学的データ(体温)と運動量の測定方法についての検討を行った。
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