研究概要 |
本研究は,(1)体育教師の観察行動に求められるエクスパタイズを明らかにし,(2)子どもの学びの状況と文脈から体育教師の観察行動を分析・整理し,エクスパタイズ向上につながる要因を明らかにした上で,(3)体育教師の観察行動のエクスパタイズを向上させる方略を開発し,検証することを目的とした。そこで,本年度は,授業の振り返りをしながら授業改善を行ってきた現職教師の観察行動における特徴とその変化について明らかにし,平成21年度に発表した内容を論文にまとめた。この論文は、平成23年度中に投稿予定である。また、平成21年度の研究で,適切なスタンダードをもって観察をすることで教師の力量向上に資することができるようになることが明らかになった。そこで、ボールゲームにおける観察行動における評価として「貢献」に着目することを見出し,具体的なスタンダードの作成を行った。これらについては,米国のボールゲームに関する研究者とその妥当性について議論をし,一定の評価を得た。これらの内容については,2つの雑誌で報告をした。さらに,これらの研究成果を導入した具体的な実践とその効果について口頭発表及びポスター発表を行った。この知見については,体つくり運動の授業づくりについて著した書籍の中の評価の項目の中でも記述し,解説をした。加えて,熟練教師と初任教員の観察行動と思考の違いについて指導と評価の関係性の違いがあることを見出し,教師としての観察行動におけるエクスパティースの向上改善を促すために,学習評価を埋め込まれた指導を,一体とした教師の観察行動と捉え,授業の実践の中で具体化していくこととした。これらを通し,エクスパティースの観点を整理し,平成23年度に実施するシンポジウム,学会,論文にて発表していく予定である。
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