本研究の目的は、脳性麻痺者の運動能力を麻痺のタイプ別、重症度別に明らかにすること。またその結果を科学的根拠に基づいたトレーニング方法開発のための基礎資料とすることである。 平成20年度は痙直型、アテトーゼ型脳性麻痺者の男性各6名、7名の運動能力(MRIによる筋断面積、等速性筋力、動作速度、筋電図、有酸素性能力、身体組成)をスポーツホトニクス研究所にて測定した。得られたデータからPearsonの相関係数による有意確率の検出を行った。結果、痙直型脳性マヒ者における。1) 筋断面積と筋力との問に相関は認められなかった。2) 筋断面積と動作速度との間にも相関はみられなかった。3) 筋力と動作速度の関係については、膝振上げと股屈筋力、膝伸筋力との間に高い相関が見られ、拮抗筋である股伸筋力との間にも相関が見られた。膝振下ろしについては主動作筋である股伸筋力や膝屈筋力との間に相関は見られなかったが、拮抗筋である股屈筋力や膝伸筋力との間に高い相関がみられた。アテトーゼ型脳性マヒ者における1) 筋断面積と筋力の関係については、大腰筋の筋断面積と股屈筋力、大腿四頭筋と膝伸筋力、ハムストリングスと膝伸筋力との間に高い相関が見られた。2) 筋断面積と動作速度との関係については、膝振上げと大腰筋・大腿四頭筋の間に相関が見られ、膝振下ろしとハムストリングスの間にも高い相関がみられた。3) 動作速度と筋力との関係については膝振上げと股屈筋力・膝伸筋力との間に高い相関がみられ、膝振下ろしと股伸筋力・膝屈筋力との間にも高い相関がみられた。今後は更に対象者数を増やし、より精密な分析を進める予定である。
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