低酸素環境への累積的な間欠曝露を利用した効果的なトレーニング方法の開発のため、低酸素への曝露期間、酸素濃度、曝露時間などを検討することが必要であった。そのため、本研究では先行する報告を参考として、標高1300mにおける21日間の睡眠時標高3000m相当の人工低酸素環境への間欠曝露の効果を検討した。実験期間中の被験者数の減少により、統計的な十分な検討ができなかった。持久性競技では最大下強度における酸素摂取量の低下(運動エコノミーの改善)が競技パフォーマンスとして大きな要因となると考えられるが、平均値として低下の傾向がみられた。 期間後に低酸素曝露群については有意ではないものの総ヘモグロビン量が平均として増加したことから、本来ヘモグロビン量が一般成人よりも多い持久性の競技者でも、今回の人工低酸素環境を併用した3週間程度の高地トレーニングでヘモグロビン量の増大とそれに伴う有酸素性運動能力の亢進の可能性を期待することもできると考えられる。今後例数を増やして評価をすることが重要と考えられる。
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