小学生3年生および6年生児童それぞれ1名を対象に、垂直跳、その場での連続ジャンプ、ランニング、ランニングジャンプをそれぞれ5回ずつ行なわせ、動作をハイスピードカメラで撮影し、地面反力をフォースプラットフォームで、下肢の筋活動を筋電図で計測した。その結果、ランニングジャンプの踏切における下肢関節のトルク(体重あたり)は、3年生と6年生の間に足関節では大きな差がみられたが、膝および股関節では大きな差がみられなかった。しかし、股関節トルクのばらつきは3年生で大きかった。足関節の角度-トルク関係に着目すると、踏切では足関節の角度が小さくなるにつれてトルクが大きくなり、その後角度が大きくなり、トルクが小さくなることが示され、この傾きは見かけのばね乗数(スティフネス)として評価できる。足関節のスティフネスは、6年生で大きく、3年生では小さく、かつ傾きのばらつきも大きかった。これらの結果は、3年生は、足関節底屈筋群の筋力が小さいばかりではなく、神経からの命令が弱く、かつ不安定であることを示していると考えられる。さらに、そのため、足関節の不安定さを股関節トルクで保証していたと解釈できる。この知見は、小学校期において児童は神経-筋機能が大きく発達する可能性を示唆するものであり、今後は、筋電図で計測した信号から筋への神経伝達にも着目し、さらに詳細な検討を加えるとともに、どのような刺激やトレーニングによって改善するのかを実践的に検証していく予定である。
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