本研究の目的は、(1)日韓両国のサッカー観戦者の観戦動機比較を行い、その相違と類似点を明らかにする、(2)両国観戦者の観戦行動変数(観戦回数、将来の観戦意向、マーチャンダイジング商品の購入意向)に影響を与える動機要因の特徴を明らかにする、(3)研究成果を経営現場に応用するため、両国観戦者を観戦動機によって細分化し、それに基づいたセグメント・プロファイルを提示することを目的としている。 調査の結果、韓国のKリーグ観戦者は、日本のJリーグ観戦者よりドラマ、家族、選手動機の平均点が有意に高いことから、スポーツ自体よりレジャーやレクリエーションの手段としてサッカー観戦を行うことが特徴として確認された。それに対し、日本のJリーグ観戦者は達成、娯楽、技術動機の平均点が有意に高く、試合の結果やサッカー技術、試合展開などのスポーツ自体に対する動機によってサッカー観戦を行っている特徴が明らかとなった。また、両国観戦者ともにチーム・アイデンティフィケーションが観戦回数にポジティブな影響を与えることと、将来の観戦意向に関しては、逃避動機がポジティブな影響を及ぼしていることが確認された。両国観戦者の相違については、Kリーグ観戦者の観戦回数に逃避動機がポジティブな影響を及ぼすことに対し、Jリーグ観戦者の観戦回数には達成動機がポジティブな影響を与えることが明らかになった。さらに、観戦動機による市場細分化の結果、観戦動機によるセグメント・マーケティングの有効性が再確認された。今後は今回得られたマーケティング・プロファイルを経営現場に応用し、その有効性を検証していく。
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