本研究では我々の方法を用いて、大学ラグビーフットボール選手の競技シーズン前とシーズン直後における上肢のパワーの変化について検討した。競技シーズン開始6ヶ月前と競技シーズン直後において、5つの異なる負荷(20、30、40、50、60kg)で最大努力によるベンチプレスを実施させた。バーベルのシャフトに取り付けたケーブルの引き出された長さと時間からバーベル挙上の平均速度(m/s)を計測する装置(フィットロダイン)を用いて挙上パワー(W)を算出した。負荷とパワーの関係を2次式で回帰し、5点挙上パワーとした。さらに、5つの負荷から3つの負荷(20、40、60kg)を選び、同様に最大パワーを推定し、3点挙上パワーとした。なお、パワー最大値における負荷を至適負荷とし、5点至適負荷および3点至適負荷を算出した。その結果、5点挙上パワーは326.0±45.2Wから349.5±54.4Wへ(p<0.01)、3点挙上パワーも324.0±44.3Wから354.3±51.6Wへ増加した(p<0.01)。5点至適負荷は40.5±6.5kgから44.3±7.7kgへ(p<0.05)、3点至適負荷も41.1±6.2kgから45.0±8.3kgへ増加した(p<0.05)。これらの挙上パワーおよび至適負荷の増加は、シーズン中に実施したトレーニングの効果によるものと思われる。大学ラグビーフットボール選手のベンチプレスにおいて、5点だけでなく3点挙上パワーもシーズン前に比べてシーズン直後に増加していたことから、3点による簡便な方法でも筋力向上を目的としたトレーニング効果の評価に有効であることが明らかとなり、3点法の実用性が示唆された。
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